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厚生労働省の医療・介護改革案は大問題である

共同の配信で「 中日新聞:窓口負担と別に上乗せ徴収検討 厚労省の医療・介護改革策:社会(CHUNICHI Web)」という記事が出ていた。

いくつかの話が出ているようだが、以下の二つの話が重大だと思う。

 一方で、高額治療を受ける患者の負担を軽減する高額療養費制度では、新たに治療が長期化した場合の支援の仕組みを設けるが、保険料や公費の負担を増やすことなく、別料金を徴収して外来患者に広く負担を求める。

 介護保険では、財政を安定化させるため、保険料を40歳未満からも徴収する見直しを提案。さらに、現役世代の保険料の応能負担を図るため、保険料負担の水準を給与に応じて決める「総報酬割」の導入も検討する。

一つ目の定率負担とは別に定額負担を求めるという制度は露骨な受診抑制の制度である。詳細な制度設計が不明であるが社会保障改革に関する集中検討会議(第六回)に提出された、厚生労働省の「社会保障制度改革の方向性と具体策」に「高度医療や高額かつ長期にわたる医療への対応と重点化」とあるので、そういう方向で検討しているのは間違いないだろう。

「治療が長期化した場合の支援の仕組み」を導入するためというのだが、生活習慣病など長期的な治療が必要な患者さんの負担が跳ね上がることになる。ドイツやフランスでも同様の制度は導入されているが、そもそも自己負担額が低い上、高額・長期の場合の支援も非常に充実している。例えばドイツでは年間実質所得(配偶者と子供の扶養控除額を差し引いた額)の2%を超える医療費の負担は必要ない(重症慢性疾患の場合は1%)、フランスにおいても特定重症慢性疾患(Affections de longue durée:ALD。6 か月以上の治療が必要で医療費が高額になる疾患(糖尿病、悪性腫瘍、腎不全、神経系の変性疾患、等)の患者さんは自己負担はゼロである(定額負担は残る)。そもそもこれらの制度と比較しても日本の自己負担は高すぎると言うことである。

高額・長期の負担が発生する典型的な例は透析だが、上限は月1万円である。透析導入した場合には生涯透析を続けなければならないので、透析だけで12万円の医療費が必要となる。風邪など別の疾患がある場合の医療費は別である。ドイツのように負担額の上限が実質負担額の2%だとすると平均的な所得の家庭で、せいぜい5〜6万円である。厚生労働省が何処までやつつもりかは不明でだが、年間5〜6万円まで負担を下げるというのなら別だが、せいぜい透析並みに月1万円にするということだろう。それと引き替えに定額負担を導入したばあい、だだでさえ高い自己負担にあえぐ我が国民はいっそう受診を抑制することが目に見えている。しかし、その結果長期的にみると重度化が進み結果的に医療費を押し上げることになりかねない。その辺り整合性をもって検討されているとは思えない。

介護保険の40歳未満への導入も相当な物議を醸すことになるだろう。負担増はもちろんだが、給付範囲をどうするのかという点が大きな問題となる。一つは給付範囲を広げるのかという問題である。現在40歳以上65歳以下の介護保険被保険者が介護保険サービスを利用できるの場合はきわめて限定的である。重度か否かということではなく特定の疾患を発症しているか否かが判断基準であり、介護保険の被保険者で保険料を払っており介護が必要になっているのに介護保険が利用できないケースがいっぱいある。40歳以下に拡大した場合に同様の問題が生じないだろうか。

もう一つの問題は障害者自立支援法との統合の問題である。詳細は省くが現在は介護保険を優先して使うということになっており、65歳以上の障害者については利用サービスの種類や上限などなど様々な問題を引き起こしている。介護保険被保険者の対象を広げることで、障害者自立支援法との統合を進める方向に行かないだろうか。障害者の皆さんが体を張って闘ってきた成果をなし崩し的に代えていくことになりはしないか。

本当に心配なのである

リンク: 中日新聞:窓口負担と別に上乗せ徴収検討 厚労省の医療・介護改革策:社会(CHUNICHI Web).

窓口負担と別に上乗せ徴収検討 厚労省の医療・介護改革策

2011年5月18日 21時45分

 社会保障と税の一体改革で、厚生労働省の医療・介護改革の具体策が18日、明らかになった。受診時の窓口負担とは別に一定額の料金を上乗せ徴収する「定額負担」の導入を検討する。長期に高額な医療費を必要とする患者の負担軽減のため、財源を捻出する目的。

 民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」(会長・仙谷由人代表代行)も同様の制度を導入を目指している。政府、民主党内では、すべての外来患者で100円程度の上乗せが浮上している。

 厚労省は、医療の高度化に伴う医療費の増加で国民皆保険の維持は困難として、新たな財政措置も含めた制度改革は不可欠だと強調。新たな公費投入を検討し、国民健康保険の低所得者対策や財政基盤安定化を行う。

 一方で、高額治療を受ける患者の負担を軽減する高額療養費制度では、新たに治療が長期化した場合の支援の仕組みを設けるが、保険料や公費の負担を増やすことなく、別料金を徴収して外来患者に広く負担を求める。

 介護保険では、財政を安定化させるため、保険料を40歳未満からも徴収する見直しを提案。さらに、現役世代の保険料の応能負担を図るため、保険料負担の水準を給与に応じて決める「総報酬割」の導入も検討する。

 医療・介護の提供体制の将来像として、日常の生活圏で一体的にサービスを受けることができる「地域包括ケアシステム」の確立を提案。人口1万人程度の小中学校区レベルで基礎的な医療と介護サービスを受けることができるようにする。人口20万~30万人レベルで地域の基幹病院機能、都道府県レベルでがん治療など高度医療を整備する。
(共同)


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