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親学推進事業について(3)

飯能青年会議所未来創造委員会のブログ「飯能JC 親学!」を見てみた。これを見ると、飯能JCが中心となって親学推進事業を進めているようだ。

http://oyagaku-hanno.seesaa.net/article/140126908.html
未来創造委員会の責任者はどうも「沢辺」さんというらしいこと。現市長も沢辺さんというのだが、その親族だろうか。親学講座は市長さんの息子さんが熱心という噂を聞いたが、やっぱりそのとおりなのだろうか。ちなみに感動理事長とあるが、現在の飯能JC理事長(を名乗った)のブログの名称は「感動理事長ブログ」である。ここまでは、現市長の息子が所属し、かつ現市長を支持するJCがいろいろな関係を使って飯能市から補助をもらって事業をやるのねという感じなのだが、やっぱり中身が心配だなというはなし。

「感動理事長ブログ」に4月に飯能で行われた高橋史朗氏の講演会について3つのポイントがまとめられている。

①教育の原点は家庭にあり、親は人生最初の教師として、教育の第一義的責任を負うことを深く自覚すること。
②胎児期・乳児期・幼児期・児童期・思春期という子供の発達段階に応じ、家庭教育で配慮すべき重点は異なること。
③子供の発達を支援するためには、母性的なかかわり(慈愛)と父性的なかかわり(義愛)が必要。
(http://hannojc2010.blog113.fc2.com/blog-entry-8.html より)

親に「教育の第一義的責任」を負わせるべきなのか。もちろん親がそう思うのは自然だし、必要なことだとも思うのだが、行政や支援すべき人たちが、上から教え込む内容なのだろうか。
父性的・母性的というけれども性差によって親の愛の性質は違うものだろうか。むしろ夫婦間でおかれた状況や性格などによって分担されあるいは統一的にとらえるべきではないだろうか。などなどいろいろな疑問がわく。(これは前回も簡単に触れた点)


親学事業を中心として進め講師としても筆頭になると思われる高橋史郎氏はとんでもない間違いを前提に教育を語る方であり、それを実施主体の中心になると思われる飯能JCの未来創造委員会の委員長さん(沢辺さんの息子か?)も、何の疑問も持っていないことに深刻な問題を感じる。(疑問を持っているのかもしれないいが、ブログではふれていないので、ブログの範疇ではそう判断せざるをえない。)

発達障害の予防(産経新聞記事より) 質問 発達障害を予防する子育ての在り方とは? 回答 金子保・片岡直樹・澤口俊之著『発達障害を予防する子どもの育て方』(メタモル出版)によれば、発達障害は人間性知能(HQ)の発達障害が主な原因で、「乳児期や幼児期での環境が良ければ、障害として現れないか、現れても健常範囲」であるといいます。

 脳生理学研究者の澤口俊之氏は、生後2歳ごろまでの乳児脳の段階なら「発達障害は予防できる」「発達障害の改善は8歳ごろまででなければ難しい」と指摘しています。

 では、予防のためには一体何が必要なのでしょうか。それは昔から日本人の誰もが実行してきた伝統的な子育ての在り方を取り戻すことなのです。

 40年以上、発達障害の予防と早期支援に取り組んできた、さいたま市教育センターの金子保所長は、『2歳で言葉がない子・増えない子「様子を見る」のは危険です』(メタモル出版)において、同様に指摘しています。

 発達心理学や脳科学の最新の科学的知見によって、日本の伝統的な子育ての意義が創造的に再発見されています。親学推進協会はDVD「子育ての再生を目指して~科学的知見に基づく子育てのポイント~」を作成し、そうした知見の啓発活動を行っています。科学的知見に基づく親学を普及することによって、さまざまな効果が期待できるのです。
(親学推進協会理事長 高橋史朗)

http://sankei.jp.msn.com/life/education/100314/edc1003141845005-n1.htm

(http://oyagaku-hanno.seesaa.net/article/143715846.html より)

「発達障害を予防」という質問そのものが、産経新聞の教養の無さを示しているのだが、回答でそれを否定しないのが問題。突っ込みどころはいくつもあるのだが、やっぱり「発達障害が予防できる」と言う話が一番問題。

発達障害のほとんどは精神活動など脳の機能に何らかの異常があることは分かるが、そのほとんど原因不明である。発達障害の原因は遺伝的要因や現在は未解明だがその他の生理的・器質的・病理的な要因であろう。親の子育ての努力で障害を克服できるかもしれないが、それは「予防」とは言えないだろう。(脳がどんどん成長し高い可塑性をもつ幼少期に障害を発見したほうが発達の遅れや歪みなどを克服できる可能性が高いが、それは「予防」とは言わないでしょう。)

また、自閉症は脳の器質異常に原因があるというのは最近の脳科学の常識となっているが、自閉症を含めて染色体異常、異常分娩による圧迫・低酸素状態、高熱など病理的なものは、これまた親の努力で「予防」できるとは言えない。

ネグレクト、会話の少なさなどよる後天的な要因による発達のおくれや歪みも発生するが、現代日本ではあまり見られなくなっている。少なくとも発達障害として特別な支援や治療を要するものは発達障害とまで言われるものの中でも少数に留まるだろう。もちろん、これのようなケースでは親の努力で確かに予防できるだろう。そもそも、発達障害をもたらすほどひどい養育環境を子どもに与え続けることを前提にした議論をしてよいのかという疑問はあるが。

このように、「発達障害の予防」というのが極めて怪しい話なのだが、この考え方は障害を親の責任に帰着させる議論に繋がりかねないということ(※)。親学講座は親の力をつけると言いながら、そういった誤った考えを前提として教えるのであれば、子どもの状態をむしろ悪化させることに繋がらないか。少なくとも、こういう考えを広めたならば苦しむ親は増えるだろうなと思う。

※ 自閉症が典型的だが、昔から親は子どもの育て方が悪いと攻められることが多く、他人からは言われなくても自分をせめてしまうことが多かった。しかし、脳科学の発展は自閉症の原因は脳の器質的異常であることをはっきりさせ、誤った考え方をただす力となっている。

障害児を抱え困難に直面している親を苦しめる考え方を広めるのが親学講座なのだろうか。

なお、高橋史郎氏が引用している本の著者、澤口俊之氏は脳科学者なのだが、

近頃の若者たちで目立つのは、周りの目を気にしない行動だ。人目を気にしないで路上でキスする、駅で着替える。あるいは車内で平然と化粧し、携帯電話で私生活を暴露する。さらには、授業中に悠々とパンをかじったり、携帯電話を受けたりする。
 こうした「恥知らずな行動」を周りの目は気にしているけれどもあえてしている」というのであれば、問題は、まあ、それほど深刻ではない。ところが、事実はそうではない。周りの目を気にできない、のである。
 なぜか? 脳科学からみれば、非常にシンプルな答えが出てくる。彼らは、脳機能に障害を負っているということだ。
(http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/keijiban/Tmp/sawaguchi.html より)

 などと、とんでもない主張をしている方である。自分の価値観と違う行動を若者がすることとか、しつけがきちんとされていないことは脳機能の障害なのだろうか。可能性がないとは言わないが、そんな可能性はほとんどない。あたかも全てが脳機能に障害が負っているかのような主張は自然科学的な検証をするまでもなくありえない。ちなみに、セクハラで北海道大学から諭旨免職の通知をうけている(ちなみに諭旨免職の通知を受ける前に本人は退職届を出したので諭旨免職処分は受けなかった形となっている)。

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